文化財の保存・活用について【令和3年12月議会一般質問】

枚方市には、保護する制度はあるのに、無形文化財がありません。

保存に向けて活動している団体もあるのに、なんで保存が進まないのか?

 

文化財の保存・活用について

Q1.文化財の保存・活用についてお尋ねします。
まず、これまでに文化財保護法や府・市の条例に基づいて指定・登録された無形文化財や民俗文化財が市内にはどれくらいあるのか、民俗文化財については、有形と無形に分けてお聞きします。

A1.(長沢副市長)
観光にぎわい部にいただいた質問に順次お答えします。
まず、3.市内文化財の保存・活用について、お答えします。
これまで「無形文化財」や「無形民俗文化財」について指定・登録したものはございませんが、市において有形の民俗文化財として、意賀(おか)美(み)神社(じんじゃ)の算(さん)額(がく)、三之宮神社の湯(ゆ)釜(がま)、御殿山神社遷宮(せんぐう)絵馬(えま)、旧田中家鋳物(いもの)用具と製品一式の計4件を指定しているほか、三之宮神社の雨乞い返礼の石燈籠4基を登録しております。

Q2.
只今の御答弁によりますと、無形文化財や無形の民俗文化財については、国・府・市で指定や登録を行ったものは本市には存在しないということです。
確認のためにお聞きしますが、本市には無形文化財や無形の民俗文化財を保護する制度があるのでしょうか、お聞きします。

A2.(長沢副市長)
 市指定文化財に関する制度は文化財保護条例の中に設けております。
 また、市の要綱で登録制度を設けております。


Q3.次に、「交野節」の保存に関する取り組みについてお聞きします。
「交野節」は、河内音頭のルーツともいわれ、枚方市と交野市に広がる交野郡に伝わってきたといわれ、最も古い節回しは尊延寺地区に伝わるものだそうです。その最も古い節の保存を目指して、交野節の保存会を結成し、市に保存の取り組みを働きかけてきた団体から、ご相談をお受けしました。
お聞きしますと、2004年(平成16年)より、「交野節」の保存・活用を目指して、市に相談。
2017年(平成29年)に交野節を継承していた方が亡くなったこともあり、その後、保存会が結成されたが、本市において保存に向けた取り組みがなかなか進まないため、2018年(平成30年)に大阪府に相談したところ、府は迅速に対応し、現在、「選択無形民俗文化財」に向けて、資料収集が始まっているそうです。
さて、17年に渡る、この「交野節」の保存に向けた取り組みは、なぜ、うまく進まなかったのか、お尋ねします。

A3. (長沢副市長)
本市では、昭和46年に、枚方市史編さんの一環として、市内に残る風俗・習慣・行事などを調査しました。その後、尊延寺地区などいくつかの地域において、民俗文化財調査を実施し、年中行事など人々の生活と関わりの深いものについて、聞き取り調査や資料を収集し、報告書としてまとめていますが、これまでの調査において、「交野節」に関する記録や情報は得られておりません。
また、議員お示しのように、「交野節」は河内音頭のルーツといわれるように、市外にも広がっており、市単独での調査が、なかなか前に進んでこなかったところです。そのような中、令和3年度から大阪府が府内全域で民俗芸能(盆踊り)調査を開始されたこともあいまって、本市としても現在、「交野節」に関連がある市内の5つの団体への調査・研究に協力しているところです。

Q4.
「交野節」については、府域への広がりも含めて調査を進める必要があったため、本市単独での調査は困難であったことは、一定理解いたしました。
しかし、「交野節」のような無形文化については、時間をかければかけるほど、調査が困難になり、保存を進める団体の維持活動が無ければ、さらに困難になるわけです。
初期の時点で、大阪府へも協力をお願いするなど、できることはあったのではないでしょうか。
現在、大阪府全域で行なわれている、民俗芸能(盆踊り)調査に、積極的に協力していただくよう、お願いいたします。
また、保存会の皆さんは、子どもたちへ節や踊りの継承、地域イベントへの出演なども行っておられ、交野節以外の節や踊りの保存にも取り組んでおられます。こういった文化の継承、地域のつながり、踊りを通した健康維持など、多様な活用につながるような取り組みを支援し、本市の観光をはじめとした、地域資源として育てていただくよう、お願いします。
さて、無形文化財や無形の民俗文化財は、人から人へ技や芸、行事を伝えていくものであるため、建造物や美術工芸品等の有形文化財のように製作年代や作者が明確になるものも少なく、指定・登録の手続もそうですが、保存することや次の世代に継承することが本当に難しいと思いますし、危惧するところでもあります。
形がないゆえに、保存が難しい、だからこそ、市として、保存・活用の取り組みを進める必要があると思います。
 国は平成31年に文化財保護法を改正し、都道府県には「文化財保存活用大綱」を、市町村には「文化財保存活用地域計画」の策定に努めるよう、通知しています。
本市においてもこの計画を策定し、市内のさまざまな文化財を、指定・未指定に関わらず、貴重な歴史文化遺産として、保存・活用を進めるべきではないかと考えますが、見解をお尋ねします。

A4.(長沢副市長(事務取扱))
議員お示しの「文化財保存活用地域計画」につきましては、市町村における文化財の保存と活用に関する総合的な法定計画であり、この計画を作成・実施することにより、市民や民間団体、文化財担当課、庁内関係部署などが総がかりで、文化財の保存・活用を図る仕組みを構築できると考えていますので、この考えのもと検討してまいります。


【要望】
今後は、本市においても、無形文化財や無形民俗文化財の保存、指定・登録を進められるように体制作りを進めていただくことを要望いたします。
市内には、指定・未指定に関わらず、貴重な文化遺産が多数散見いたします。文化財保存活用地域計画に基づいて、市内文化財の保存と、これらを活用し、枚方の観光に繋げていただくことを要望いたします。